例えば、ぽかぽかに晴れた日にお散歩に行くような想像。お家で作った具だくさんのサンドイッチをかわいいお弁当箱につめる。つやつやの卵、ジューシーなツナ、おいしいハム、シャキシャキのレタス。魔法瓶にはお砂糖をたっぷり入れた紅茶を入れる。お気に入りの本、難しくて全然読めない本。スケッチブック、鉛筆、小さなぬいぐるみ。いいにおいのハンドクリーム。素敵なものたちをリュックにしまう。サラサラの服を着て、まだ自分には少し大きいぼうしを被ってみる。 お外の光はぴかぴか眩しくて、風はそよそよあたたかい。ふわふわした気持ち。まぶたがちょっと重くて少し眠たいような、気持ちがよい感覚。誰もいない住宅地をトコトコ歩く。遠くから掃除機をかける音がする。空に飛行機が飛んでいる。私しかいない道。のどこかにいる、知らない誰かの生活。本当にいるのか不安になる、不安の居心地の良さ。太陽は私をぽかぽか照らす。心地よい世界。立ち止まって空を見上げる。薄く青い空。白く浮かぶ雲。ねこみたいな形の雲が浮かんでいる。流れていく。流れている。この気持ちをあなたに伝えたいと思った。
例えば、ぽかぽかに晴れた日にお昼寝をするような想像。お家の1番あたたかい場所にお気に入りの枕を置いてふわふわのタオルケットと窓から入ってくる柔らかい光にくるまれる。窓の外には薄くて青い空。白いもこもこの雲。安心で安全なお家のお外。安心で不安で怖い、外の世界。そこからやってくる柔らかいあたたかい光。眠くて少し重たいまぶた。ぼんやりと眺める。きっと夢を見る。空を飛ぶくじらと一緒に空を飛ぶ夢。疲れたら雲にのってお昼寝をする。そこではきっとまた夢を見る。夢をみる。夢をみる。 お昼寝から目を覚ましたらきっとあなたがいる。あなたがいる。私だけが知っている夢の世界。あなたと私がいるこの世界。私だけが知っているこの世界。
例えば、真っ暗な闇に包まれたつめたい世界。ここには誰もいない。ここにはなにもない。まぶたが重くてたまらない。目を閉じる。それでも変わらない真っ暗な闇がある。眠りたいと思った。闇に溶けている。私はそこできっと夢をみる。あたたかい夢の世界。想像の中にだけある世界。
例えば、真っ暗な闇に包まれたあたたかい世界の創造。死んでしまいたいと思った。つめたい外の世界。どこにもない世界。
例えば、あなたに触れられる世界。あたたかい世界。夢の世界。どこにもない世界。私だけが知っている、触れられない世界。まぶたの裏の暗闇の中にだけある世界。私はきっと夢をみる。夢をみている。夢をみる。みる。手を伸ばそうとする。ずっときっと手なんてなかった。伸ばす為の手がない。腕がない、身体がない、気持ちがない。ない、なにもない。私は私の世界になにもない。
ぽかぽかに晴れた日に死んでしまうことにした。なにも持たずにお外に出る。お外の光はぴかぴか眩しくて、風はそよそよあたたかい。空は薄い青色に染まって、白いふわふわの雲が浮かんでいる。それだけで幸せだった。死んでしまいたいと思った。このままここで死んでしまえればどれほど幸せだろうと思った。光が乗ったまぶたは重くて目を細める。あたたかい。あたたかさで満たされていく。満たされていく、だけの想像。まぶたが重い。ぽかぽかに晴れた日、少し眠たい、ぴかぴか眩しい光、の想像。という、想像。という想像。
眠りたいと思った。このまま眠ってしまえたらきっと幸せだろうと思った。きっと素敵な夢をみる。あなたがいる夢。あなたがいる、想像。を、つくっている。おもっている。かんがえている。あなたのことをずっと考えている。あなたがいる世界をきっとずっとつくっている。それは幸せがある世界。そこには幸せがある、悲しみがある、苦しみがある、感情がある。生きていく感情がたくさんある。たくさんある、から考える。手を伸ばす。触れる。触れたいと思った。きっとあたたかいと思った。触れられない、あなたはない。どこにもない。だからたくさん考える。つくる、感情をつくっている。あなたの感情をたくさん並べる。とてもきれいだと思った。ない感情が、ある。ここにはある。ここには全部ある。ないものがある。ある。ある。あたたかさで満たされていく。きっと幸せだと思った。私はきっとずっとあなたを知らない。私はきっとずっと、私も知らない。落ちている。落ちていく、という想像をしている。想像を知っている。知っている、をつくっている。まぶたを閉じる。夢をみる。